【永久保存版】スコリミアの飼育|美しいLPSサンゴの特徴・種類と長期飼育のコツ
こんばんは。
本日の記事では、アクアリウムのプロが、
『スコリミアの飼育』についてお伝えします。
Aquarium Art Design CREATE THE SEA代表の植村です。
まずはじめに、初心者の方向けにサンゴとは一体どういった生き物なのかを簡単に解説します。
サンゴは動物、植物、鉱物の性質を持つ生き物です。
一般的に写真などでよく見るようなサンゴは木のように枝状に成長している個体のイメージが強く、一見、植物の仲間だと思われる方も多いのですが、実は動物です。
大きく分けて造礁サンゴと、非造礁サンゴになります。
◆造礁サンゴとは
体内に小さな藻類(共生藻)を住まわせており、サンゴが藻類(共生藻)に対して栄養塩を提供し、共生藻はサンゴからもらった栄養塩を利用しながら活発に光合成をおこない、最終的には、光合成で得たエネルギーを宿主のサンゴに与えます。
このタイプの藻類は一般的に 褐虫藻と呼ばれています。
・小さな藻類(共生藻)= 褐虫藻
わかりやすくお伝えすると、
褐虫藻はサンゴの体内に住まわせてもらっているので、毎日宿泊させてもらって、食材(栄養塩)を提供してもらう代わりに、料理(光合成)をして完成したご飯(エネルギー)をごちそうして、お礼をするようなイメージです。
・サンゴ=宿泊施設
・褐虫藻=利用者
ではなぜ褐虫藻はサンゴの体内にわざわざ宿泊するのか?
その理由は共生藻はサンゴの中で宿泊することで、効率良く豊富な食材(栄養塩)を得れるのです。
褐虫藻は料理が得意ですが、食材を手に入れれないといくら料理が得意でも、ご飯はつくれませんよね?
・食材=栄養塩
・料理=光合成
・食材付きの宿泊施設=サンゴ
✅泊まる場所と食材を提供するのがサンゴの役割。
✅食材を調理するのと完成したご飯をごちそうするのは褐虫藻の役割。
褐虫藻は、一宿一飯の恩義として、食材(栄養塩)を使い料理(光合成)して完成したご飯(エネルギー)をサンゴにごちそうします。
・完成したご飯=エネルギー
このような持ちつ持たれつの共生関係が生物多様性に富んだサンゴ礁生態系の基盤となっています。
人間も造礁サンゴも褐虫藻も同じで、
一人では生きていけないのです。
◆非造礁サンゴとは
造礁サンゴとは異なり、褐虫藻のような共生藻を体内住まわせおらず、日当たりのあまり良くない場所や、深い海でも生きていけるように、積極的にサンゴ自らがご飯を自分で食べます。
このようなサンゴは、陰日性サンゴとも呼ばれます。
主に海中で流れてくる プランクトンや、有機物の粒子を摂取します。
骨格を持つタイプの陰日性サンゴは成長速度が非常にゆっくりで、一年で数ミリしか成長しない個体も存在します。
とりあえずサンゴがどのような仕組みで生きている、生き物なのかはなんとなくわかりましたか?
また次回に別記事で詳しく説明はさせていただきます。
ではここからが本日のメイン、『スコリミアの飼育について』となります。
こちらも初心者の方にもわかりやすいように、私なりに簡単にまとめてみました。
◆スコリミア(Scolymia)とは?
スコリミア(Scolymia)
学名 Homophyllia australis.
スコリミアは先程説明させていただいた造礁サンゴの分類には入ります。
一般的には、海外ではスコリーコーラルと呼ばれ、日本ではスコリミアと呼ばれています。
大きなポリープを持つ石サンゴ(Scleractinia)です。これらの動物は中新世にさかのぼり、西大西洋、カリブ海、メキシコ湾に3つの種類が存在すると考えられています。
スコリミアは単体性のサンゴで最大全長は10㎝程度。
スコリミアは絶滅危惧種であり、その中でもScolymia wellsiiは脆弱だとウィキペディアにも記載されています。
【Scolymia wellsiiとは】
一般的に流通しているオーストラリア産のスコリミアのことを指します。
【脆弱とは】
身体・組織・器物などがもろくて弱いこと。
つまりオーストラリア産のスコリミアは希少な上に、もろくて弱いとされているのです。
ですので1人でも多くの方に大切に飼育して頂きたいです。
【スコリミアの特徴】
✅骨格を持つハードコーラルで成長速度は極めて遅い。
✅カラーバリエーションが多く魅力的ではあるが他のサンゴに比べ価格が高い。理由はオーストラリアの固有種で、希少な為。
✅スコリミアはLPSなのでサンゴ飼育の中では、飼育難易度は決して高くないが、飼育を失敗してしまうアクアリストも多い。
失敗する1番の理由はどのサンゴにも共通して言えるが、スコリミアの生息環境を水槽内であまり再現できていない可能性が高い。
失敗するその他の理由はスコリミアのようなLPSは徐々に弱ってきている場合でも、初期段階ではあまり見た目ではわからないため購入時に健康な個体かどうかの判断がアクアリウム初心者には難しいことが原因と予測される。
結論:スコリミアは希少価値が高く、その色彩も美しく人気。一見丈夫そうなLPSなので飼育が簡単そうに見えるが、実は奥が深い。
ここからはもう少し詳しく説明します。
【スコリミアの成長速度について】
スコリミアは、極めて成長が遅く骨格部分は一年で数ミリ程度しか成長しません。しかし、スコリミアの共肉部分は一年で一回りほど成長する場合もある。
スコリミアは成長の際、主に褐虫類との共生関係を通じて光合成から生まれたエネルギーを利用します。スコリミアはエネルギーを得る手段として餌を食べることもできます。自然界では、夜間に触手を使って水の中を漂うプランクトンを捕まえる。
【スコリミアを長期飼育するには】
最低でも横幅60㎝×奥行き45㎝×高さ45㎝くらいの水槽は準備された方が、スコリミア飼育はしやすくなりスコリミアが弱ってしまう可能性は下がります。基本的には水槽サイズが大きければ大きいほどスコリミアの飼育は楽になります。
✅条件①基本的な飼育設備環境を整える。
✅条件②CREATE THE SEA SALT(人工海水)で定期換水。
この2ステップでスコリミアの飼育は上手くいきます。
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スコリミアに対しての給餌も有効的ではありますが、必ずしも必要なわけではないです。
給餌量を間違えると、スコリミアは死にますのでリスク面を考えると、無給餌が良い。
もしくはスコリミア一個体に対して、冷凍ブラインシュリンプを数匹程度与える程度が良いです。サンゴ用の人工飼料は栄養価が高い分給餌量の調整が難しいとお客様からも言われます。
【スコリミアを飼育する際の注意点】
水槽の中でのスコリミアの配置をしっかりと考えて下さい。水流や光が強すぎない方が良いです。ライブロックの上にスコリミアを置いているだけだと、水槽内の様々な生き物がスコリミアを動かしてしまい、スコリミア自体が転倒する恐れがありますので、必ずスコリミアの転倒対策をおこなってください。スコリミアは本来転倒に弱く、すぐに一部が腐敗して弱る場合がございます。
【スコリミアご検討中の方へ】
スコリミアの飼育だけでなく、全ての生き物の飼育に関して共通して言えることですが、プロなら簡単と感じる事も、お客様からすると難しい事は多々あります。まずはスコリミアのご購入前に一度クリエイトザシーへご相談ください。お客様がスコリミアの長期飼育に適している飼育環境が作れているかなどのアドバイスが可能です。
では最後に過去のスコリミアの入荷個体の写真にて、
スコリミアの種類(カラーバリエーション)をご紹介致します。
スコリミアブリーディングアップル
(Scolymia bleeding apple.)
ベースカラーがグリーン系で、そこにオレンジ系のフラッシュが混じる個体。
個体差でベースカラーが明るめのグリーンや、暗めのグリーンになる場合もある。
フラッシュの色も個体差で、オレンジ〜レッド系の色が存在します。
スコリミアウォーペイント
(Scolymia warpaint)
ベースカラーがネイビー系で、そこにオレンジ系のフラッシュが混じる個体。差し色でライトブルーカラーの斑が入ります。
個体差でベースカラーやフラッシュの明度が異なる場合もある。
フラッシュの色も個体差で、オレンジ〜レッド系の色が存在します。
スコリミアリバースウォーペイント
(Scolymia reverse warpaint)
ご覧いただくとお分かりいただけるかと思いますが、通常のスコリミアウォーペイントがベースカラーがネイビー系で、そこにオレンジ系のフラッシュが混じるのに対して、その色差バランスが逆転した個体です。
主にリバースと呼ばれる個体は、ベースカラーとフラッシュの色彩バランスが逆転しており、こちらのスコリミアウォーペイントの場合は、ベースカラーのネイビー系の色が、オレンジ系の色のフラッシュで大半部分が隠れてしまい、ベースカラーがオレンジ系の色のようになっています。
スコリミアマスターグレード
【Scolymia master grade】
スコリミアブリーディングアップル同様ベースカラーがグリーン系で、そこにオレンジ系のフラッシュが混じるが、スコリミアマスターグレードの場合はさらにグリーンのベースカラー部分にネイビーのリング型の模様が浮かび上がる。
個体差でベースカラーが明るめのグリーンや、暗めのグリーンになる場合や、フラッシュの色も個体差で、オレンジ〜レッド系の色が存在します。
フラッシュの範囲が増えた個体。
かなり印象は異なって見えますよね?
実際に見た際も奇抜で華やかなに印象に感じます。
フラッシュの範囲がさらに増え、ベースカラーにスカイブルーの発色がある個体。
印象はさらに異なり、より芸術性が高まった印象です。
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